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PROTEINタンパク質について

タンパク質とは、ヒトの体の中で水の次に多く存在している物質で、体内の15~20%を占めています。最も多い水の割合は約60%ですのでそれを除いた約40%を全体とすると半分近くがタンパク質ということになります(図1)。

その役割は、筋肉や髪の毛など体を作る機能や体の代謝の調節、血液など体液として栄養の輸送、体を守る抗体など多岐にわたります。人の体の中だけでもその数は、10万種類を超えると言われています。

コラーゲン、インスリン、ヘモグロビンなどは耳にしたことがある人も多いと思いますが、これらも全てタンパク質の一種です。

蛍の発光などもタンパク質の機能によるものです。

タンパク質はアミノ酸が鎖状に連結し、それらがくっついたり折り畳まれたりすることによって形作っています。ヒトの体でタンパク質の合成に使われるアミノ酸は20種類で、これらの組み合わせによってさまざまなタンパク質を作っています。

体の構成成分

① タンパク質の構造

タンパク質はDNAという設計図から情報を写し取る(転写)ことによってRNAというコピーが作られ、そのRNAの情報を基にアミノ酸という材料を並べる(翻訳される)ことで作られます(図2)。

この一連の流れのことをセントラルドグマと呼びます。

タンパク質生成

この流れのうち翻訳によって並べられたアミノ酸がタンパク質として機能を持つ形になる過程を見ていきます。タンパク質はアミノ酸が鎖状に連結し、それらがくっついたり折り畳まれたりすることによって形作っています。アミノ酸同士の連結をペプチド結合といいます。ペプチド結合とはアミノ酸に含まれるアミノ基(-NH2)とカルボキシ基(-COOH)がそれぞれ -H と -OH を失い、 -NH-CO- で結合した部分のことです。失った -H と -OH は結合して水(H2O)になります。アミノ酸が複数結合し、並んでいるものをポリペプチドもしくは単にペプチドと呼びます。定義はありませんが、一般的にアミノ酸が50個以上並んだポリペプチドがタンパク質と呼ばれています。また、ポリペプチド鎖やそれからできた三次元的な形のことをタンパク質の立体構造と呼びます。

ペプチド結合

タンパク質の立体構造には大きく4つの段階があります。それぞれ一次構造、二次構造、三次構造、四次構造です。また、二次構造、三次構造、四次構造を合わせて高次構造とも呼ばれます。

一次構造とはアミノ酸が鎖状に連結し、1本のポリペプチド鎖になった状態のことです(図4)。この鎖のアミノ酸の種類や並び順によってタンパク質の個性が決まります。

一次構造とは

二次構造とは一次構造の一本鎖が折りたたまれるなどによってできるタンパク質の局所部分になる構造です(図5)。

一般的によく上げられるのはαヘリックス、βシートと呼ばれる2種です。一次構造の1本鎖が、規則正しくらせん状に並んだ状態をαヘリックスと呼び、ジグザク状に伸びた鎖同士が平行的につながり1枚のシートのような状態になったものをβシートと呼びます。このように特徴的な構造を持ちます。

二次構造

三次構造とは二次構造が組み合わさり、さらに折りたたまれタンパク質の形を作っている状態のことです(図6)。

ここまでの構造が1本鎖でできる構造であり、この構造がそれぞれのタンパク質の機能に大きく関わっています。それぞれのタンパク質特有のアミノ酸配列が安定した形になります。三次構造の状態でタンパク質として働くものもあります。

三次構造

四次構造とは三次構造が2つ以上集まりできた、複雑で大きな複合体のことです(図7)。

ここでは一つの鎖からできた構造をサブユニットと呼びます。


まとめるとアミノ酸が一列に並んだ配列のことを一次構造、特徴的で規則的な構造をとった状態が二次構造、タンパク質特有の立体構造をとりそれ単体で機能することもある三次構造、そして複数のタンパク質が集まり複雑な複合体をとった状態が四次構造になります。

四次構造

② セントラルドグマ

DNAからタンパク質が合成される流れのことを言います。分子生物学の基本原則とされています。

DNAからDNAへの複製、DNAからRNAへの転写、RNAからタンパク質への翻訳この3つのステップがセントラルドグマにおける流れになります。

セントラルドグマ

③ ウエスタンブロッティングについて

ウエスタンブロッティング(ウエスタンブロット法)とはタンパク質の解析方法の一つです。

タンパク質混合物から特定のタンパク質を検出することやタンパク質の状態確認といった目的タンパク質の検出や解析に利用されています。

電気泳動によりゲルに流したタンパク質を大きさ(分子量)順に並び変え、それをメンブレンと呼ばれる疎水性膜に写し、目的のタンパク質に対する抗体を反応させ読み取ることができるようにし、その目的のタンパク質の大きさを確認する解析方法です。

ウエスタンブロッティング

メンブレン上に検出されたシミ(バンド)の場所を同時に流したマーカー(バンドの出る位置が決まっている)と比較することでバンドの出た目的タンパク質の大きさを確認することができます。

参考文献:"Chemi-Lumi One Markers Kit”ナカライテスク株式会社 2023.3 (https://www.nacalai.co.jp/products/entry/d005001.html)

ウエスタンブロッティングマーカー